Forest Baubiologie Studio,森林・環境建築研究所

 
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フォレスト・バウビオロギー

家は人にとって第三の皮膚である

バウビオロギーとは、人と住居の全体関係性を生物学的にとらえる考え方で、日本語では「建築生物学」と訳されています。ドイツ発祥のバウビオロギーは「健康な住まい」を求める価値観の一つとして、世界の環境建築・住宅のあり方に影響を与えてきました。

バウビオロギー(建築生物学)では、建築を第三の皮膚ととらえます。私たちの持つ第一の皮膚は食べ物が作ります。ですから私たちは食生活についてはようやく注意を払うようになってきました。

第二の皮膚は衣服です。レインコートは雨を防いでくれるし、着ていると暖かい。しかし、着て寝ることができないのは、皮膚呼吸が妨げられるからです。自然素材の持つ調湿性や通気性、保温性を上手に利用した衣服が一番快適であることは多くの人が経験的に知っています。

衣服の皮膚感覚を外側にふくらませたものが第三の皮膚、住居です。現代住宅の多くは工業製品のアセンブルで出来上がりますが、衣服も建築も究極は食料と同じように工業化と真逆のオーガニックなスローな作り方が健康的です。そうした作り方ができない理由もまた食品と同じで、住宅産業が大資本の産業構造に組み込まれていることが原因です。唯一本当に健康的な家をつくるためには、厳選した自然素材パッシブな設計技術が重要ですが、小さな自由資本がお互いに協力しながら作り上げる生産体制にも、大きな可能性があります。

人はもはや家なくしては生きていけない生物です。だから第三の皮膚である家は、人間と環境をつなげるやわらかい緩衝体になっている必要があります。この緩衝体の内側が、人という生物にとって真に正しい空間であること。それこそ私たちが求める究極の住居の姿だと思うのです。

「森林浴」から発展した日本発祥の学問・森林医学

人という生物にとって真に正しい環境とはどんな環境でしょうか。例えばそこに身をおくことで体が元気になるとか、よく眠れるとか、リラックスしてストレスが低減するとか、そんな環境があるとしたらそれはどこか?その問いに応える環境を「森林」であると定義し、森林環境が人に与える効果を医学的に検証し、予防医学や積極治療に応用しようとする研究が森林医学です。

日本で生まれた森林医学は、1982年、当時の秋山林野庁長官が赤沢自然休養林(長野県木曽郡上松町)の中に立ち、その心地よさを「森林浴」と表現したことをきっかけにはじまりました。

日本の高い森林率と、巨樹を祀りその「気」を受け取る森林文化を背景に、「森林浴」の研究はやがて「森林療法」「森林セラピー」へと展開しました。医師や医療機関も研究に参加する「国際森林医学会(INFOM)」は、海外からも注目されており、積み重ねてきた実験データは学問として体系化されようとしています。

森林環境が人体に与える影響について、より詳しい情報が共有されるようになれば、人類の「森」に対する考え方に良い影響を与えるでしょうし、日本で生まれた「森林医学」が、世界の建築計画に大きな影響を与える日も近いのではないかと考えています。

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現代人は建築物の中にしか住めない宿命を背負いながら、生物として身を置くべき環境をどこまで感じ取れているでしょうか。森林医学バウビオロギーも環境と人体の関係性を扱う学問です。これまで建築衛生学はシックハウスやバリアフリー、熱環境系などの安全性の学問に留まっていましたが、これからは森林医学の研究データとバウビオロギーの考え方を融合させた新しい研究領域が拓けます。

バウビオロギーが提唱する建築の生物性を、森林環境がもたらす生体への影響という視点で組みなおしてみること、私たちはこれを「フォレスト・バウビオロギー」と呼んで研究しています。

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